良く、景気が良い、景気が悪い、景気の見通しは・・・。などと語られることが多い「景気」。経済と密接なつながりがあることは分かりますが、具体的に景気というのは一体どういうもので、何が景気の良し悪しに対して影響を与えているのでしょうか?
金は天下の回り物といいますが、景気というのは、その国や社会において通貨(お金)がどのくらい流通(回転)しているのかを示すものです。皆がお金を使えば、お金は消費者→小売店→メーカー→労働者(消費者)・株主(投資家)というように、お金は回っていきます。
お金が回っているということは、人やモノ、サービスの動きが活発ということになります。つまり、お金が経済においてよく回っている状態がいわゆる「景気が良い」という状態で、逆に、皆がお金を使わない状態が「景気が悪い」というものなのです。
よく、政府が景気対策のため○○円の補正予算を組んで……といったニュースに聞き覚えがありませんか?
あれは、景気対策として「政府がお金を使う」ことによってそのお金が流通するようにしているわけです。たとえば、公共事業として政府が100億円のお金を使って何かを作るとします。
このとき、「政府→ゼネコンなど→地元の建築会社→新たな雇用→被雇用者がお金を使う」という流れを作るという景気対策になっているわけですね。
景気というものは「循環(じゅんかん)」するといわれています。
景気循環、景気変動、景気の波などとも呼ばれるように、景気は好景気と不景気を繰り返すように動きます。
理由は様々な要素がありますが、在庫調整や設備投資、建物の建て替え需要、技術革新など様々です。詳しく知りたい方は「景気循環と株式投資」などのサイトをご覧ください。
政府や日銀(中央銀行)の役割はこの景気循環の波の大きさをできるだけ小さくすることです。好景気の時は過熱しないように鎮静化(金融引き締めなど)を図り、不景気の時は先ほどの例のように政府支出(公共投資など)を増やしたり、日銀が金利の引き下げ(金融緩和)を行います。
好景気ってみんながハッピーなのになんで鎮める必要があるのか?
という疑問を持つ人も多いのではないでしょうか?景気がいいならそのままいい状態を維持する方がいいんじゃないの?ということですね。
好景気は良いことですが、同時に加熱すると色々な副作用を生むのです。いわゆる日本でのバブル崩壊というのは好例です。
景気というものは「過熱」します。バブル期には不動産価格などがあほみたいな値上がりを見せたわけですが、そのまま進んでいくといずれ崩壊します。
バブル期の絶頂時点では東京23区の土地総額がアメリカ全土の土地総額を上回る事態だったと言えば異常性が分かっていただけるかと思います。
こうしたバブルはあるとき「崩壊」します。ありえないところまで進むのでどこかで崩れてしまうわけです。そうなったら大変です。
不動産価格は急落、投資家はもちろんですが、銀行や企業まですさまじい不良債権を抱えることになってしまうのです。これによって企業の倒産はもちろん、多くの失業なども生み出してしまうわけです。景気用語でこうした崩壊を「ハードランディング」「クラッシュ」と呼びます。
このような行き過ぎを防ぐために好景気の時には徐々に金融引き締めなどを行って、好景気の副作用を小さくするソフトランディングを目指すわけです。