流動性リスクとは

流動性(りゅうどうせい)とは、売買のしやすさや売買量の事を指し、流動性リスクとはこうした流動性が低いことにより売りたくても売れないリスクや売れても金額が安くなってしまうリスクの事を指す。

流動性リスクと投資

流動性というリスクについて、普段多くの方はあまり考えないかもしれません。しかし、流動性リスクというのは投資の中でも極めて重要なリスクの一つで、投資をする場合しっかりと考えていく必要があるリスクです。要するに売りたいときに売れないリスクと考えてもOKです。

例えば投資商品の中でも流動性リスクが高い投資商品は不動産が最も高い部類に入ります(有価証券であるREITは別)。

不動産は、その特徴から金額が高額であること、価格が不透明であること、情報の非対称性が生じやすいなどの特徴から、金額だけを見てパッと購入する人はいません。通常の場合、よっぽど買主に有利でない場合は数ヶ月程度の日数は必要になります。

さらに、買い手が付かない場合は、買主に有利となるような価格に変更する必要もでてきます。また、このほかにも売買による登記の手間・コストなどもかかります。

これが流動性リスクです。対して株式投資の場合、流動性は高く受渡日を含めても4日程度で現金化することが可能です。注文自体もインターネットで価格を見ながら注文を出すだけで成立して色々な書類を書いたりする必要はありません。

ただし、株式がすべて流動性が高いというわけではなく、銘柄によってはリスクの高い銘柄もあります。特に出来高(売買高)が小さい銘柄は流動性リスクがあるといえるでしょう。

 

流動性リスクが高いことによる弊害

以下は流動性リスクが高い商品のデメリットを紹介します。

  1. 現金化までに時間がかかるケースが多い。
  2. 一概に手続きが煩雑となる可能性が高い。
  3. 売買相手が見つかりにくい。
  4. 現金化を急ぐ場合、安い価格で買い叩かれる可能性が高い。

こうした流動性リスクを考えないと、イザというときに困るリスクがでています。以下にいくつか代表的な流動性リスクが高い投資商品を紹介します。

 

投資商品と流動性リスクについて

様々な投資商品における流動性リスクについてを具体的に例を示しながら説明していきます。

仕組預金と流動性リスク

銀行預金は通常流動性は極めて高い金融商品です。定期預金の場合「定期」期間内の解約は原則としてできませんが、低い金利に甘んじれば解約することはできます。
一方で、同じ銀行の預金でも「仕組預金」と呼ばれる預金については必ずしも流動性が高いわけではありません。特に「マルチコーラブル預金」と呼ばれるタイプの預金は預金者から解約は原則不可となっており、解約する場合は違約金として元本を大幅に下回るリスクがあります。

出来高の少ない銘柄(株式)の流動性リスク

株式投資は流動性が高い投資商品と書きましたが、あまりにも一般の投資家から人気のない銘柄の場合は取引量が少ないため、あまりにも多量に株を持ちすぎる場合、売りたくても売れなかったり、自分の売り注文が値段を大きく下落させたりするということになりかねません。こうした銘柄は流動性リスクが高いといえます。

不動産投資と流動性リスク

不動産投資については最初の方で解説したとおり、金額が大きいこと、売買相手を探すのが大変などの理由で流動性リスクが高い商品となっています。
また、制度上も不動産の売買には面倒な契約や登記などが必要なことから手間がかかってしまいます。ただし、同じ不動産投資でもREIT(リート)のような証券化商品については流動性が比較的高いです。

生命保険(養老保険など)と流動性リスク

生命保険の内、特に貯蓄性が高い保険の場合も同じく、資金繰りという面でリスクがあります。貯蓄性のある保険などは途中で解約すると損をすることが多く、あくまでも満期まで保険料を支払い続けることが条件になっているケースが多いです。
このような場合は、将来の資金繰りに一定のリスクがあるといえるでしょう。

 

こうした流動性リスクというものは個人投資家の場合、特に見逃しやすいリスクです。
とても、魅力的な条件でも売るに売れないような商品は万が一の場合リスクが高いといえるでしょう。

「流動性リスクとは」の用語解説

ここではこのページで使われた様々な用語について解説をします。リンク先は「金融経済用語辞典」の用語解説ページ、または関連情報が掲載されているサイトです。

流動性リスクとは
売れないリスクのこと。

仕組預金とは
仕組預金はデリバティブなどの金融取引が預金に付加された投資商品。預金という名前が付いているがバリエーションは豊富で、中には極めてハイリスクな商品もある。

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