公募増資・第三者割当増資と株価への影響

企業は資金調達が必要な場合に「増資」という手続きをとることがあります。この増資発表というのは会社の資金調達により財務状況は健全化しますが、その会社の発行済株式総数が増加するため、結果的に1株あたりの利益の減少につながりやすいというリスクがあります。

増資と株価への影響

増資とは、新しく株式を発行して資金を調達することです。こうした発表は株価に対して大きな影響を与えます。

まず、増資が行われるということはあたらしく株式が発行されるということになります。たとえで解説していきます。ある会社が100万株の発行済株式総数で時価総額が10億円の会社があったとします。その会社は年に5000万円の利益をあげているとします。株価はPER20倍水準の(1,000円)であるとします。
この場合で、会社が10万株の株式を新規に発行したとします。

増資前の会社の1株あたり利益(EPS)は5000万円÷100万株=50円となります。この会社が前述の通り増資を行った場合のEPSは5000万円÷110万株=45.45円に下落します。仮に業界PERが20倍前後であるという場合、理論上の株価は1,000円から909円にまで下落することになります。

つまり、増資が行われるということは、「株式の希薄化」と言われ、1株あたりの価値が下落するので、株価は下落するという理屈です。

前向きな増資と後ろ向きな増資

先ほどの例では、企業の業績(利益)に影響が無い場合の例です。例えば増資を行う事で、会社の利益が増大しない場合です。代表的なものでは、運転資金不足による増資、経営環境悪化のための増資などがこれに当たるでしょう。

一方で、増資というものは必ずしも後ろ向きなものだけではありません。例えば「新技術開発に伴う販売費用のための増資」「生産量拡大のための工場設備増強費用のための増資」という場合はどうでしょうか?新製品が売れたり、生産量の拡大により最終的な利益増加につながる可能性もありますよね。

こうした場合で先ほどの例で、増資により会社の利益が5000万円から6000万円にまでアップするとしたらどうでしょうか、1株当たり利益(EPS)は6000万円÷110万株=54.54円となり、PERが20倍とすれば株価は1,000円から1,090円にまでアップする計算となります。

このように、増資=株価下落ではなく、増資=何のための増資か?という点が極めて重要になります。前向きなのか、後ろ向きなのか?その増資が会社にとってどのような影響を及ぼすものであるかを考えるのが重要です。

 

公募増資と第三者割当増資・公募売り出し(需給面からの検証)

企業が増資を行う場合、大きく「公募増資」と「第三者割当増資」に分類されます。

公募増資とは
第三者割当増資とは

上記の参考サイトにあるように、公募増資は一般投資家に増資を募ること、第三者割当増資は特定の第三者に増資を募ることです。

増資という行為とそれにより会社に資金が入るということにはどちらも違いは無いのですが、需給面においてやや違いがありますので、解説しておきます。

公募増資の場合

公募増資が行われる場合、増資による新株は一般投資家の手に入ることになります。そのまま持ち続けられることもありますが、通常は市場に流出します。その分需給が一時的に悪化(売りたい人が増える)ことで株価が下がることがあります。
ただし、中期的には市場に流通される株数が増える事で、市場の流動性が高まりプラスとなります。

 

第三者割当増資の場合

第三者割当増資は通常は関係会社などに新規に株を買ってもらう方法です。ほとんどの場合で第三者割当増資による株が市場に出回ることは無いので、流動性自体に変化はありません。

 

公募売り出しの場合

また、増資と似たものとして「公募売出(売り出し)」と呼ばれるものがあります。売り出しとは第三者が持っている株式を市場で売却する場合に使われます。大株主などが株を売却する場合に用いられます。実際には株式が増加するわけでは無いので増資とは根本的に異なります。

 

新しい増資の形「ライツイシュー」

増資の新しい形として注目されているのが「ライツイシュー」と呼ばれるものです。ライツイシューは株主割当増資と呼ばれる新しい増資の形です。

具体的には企業が増資をする際、公募増資とするのではなく、一旦増資数量の【新株予約権】を既存株主に対して無償で割り当てます。
たとえば、100万株の発行済み株式総数がある企業が10万株の増資をする場合、10株の株主に対して1株の新株予約権を割り当てます。

この新株予約権はその企業の株式を○○円で××株分買える権利です。

ライツイシューによって新株予約権を得た投資家は、その後、権利を行使して増資に応じても良いですし、市場を通じて権利を第三者に対して譲渡することも可能です。
権利を売った場合の代金は当然、既存株主が受け取ることができます。

一般に公募増資がされると株価が下がってしまいますが、ライツイシューの形態をとることで、既存投資家には新株予約権を売却することで得られる利益が入るというメリットがあります。

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「増資発表(公募増資・第三者割当増資)」の用語解説・関連サイト

ここではこのページで使われた様々な用語について解説をします。リンク先は「金融経済用語辞典」の用語解説ページ、または関連情報が掲載されているサイトです。

ライツイシューとは
ライツイシュー(株主割当増資)はその名前の通り、既存株主に対して無償で「新株予約権」を割り当てるタイプの増資。株主は予約権を「売る」ことができる。

新株予約権とは
新株予約権(しんかぶよやくけん)とは、その権利を行使することで、当該企業の株式の交付を受けることができる権利を指す。

公募増資・売り出しと株価 (IR情報の活用
公募増資が行われたときの株価について解説。

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